鍛造加工とは

2017.01.26

日本には、古くから鍛冶屋(かじや)と呼ばれる職人が多く存在していました。日本刀など刃物を製造する際に行っていた技法で、刃物の品質を向上させる努力に伴い技法が発展してきました。サムライは、優れた刀を持つことで、その時代を制覇していたと言っても過言ではありません。また、鍛冶職人は刀だけでなく、家庭用具や農業用具も、依頼に基づき製作していました。”使う人にとって、長い間愛着を持って使い続けられるもの、仕事の用途や使い方にあわせたもの、たとえ値段が高くても、「本物」を作り出すこと”。これが鍛冶職人の使命でした。

当社は鍛冶屋の技術と思いを、「熱間精密鍛造(ねつかんせいみつたんぞう)」という技術で現代の工具製造に受け継いでいます。鍛造(たんぞう)とは、金属加工の塑性(そせい)加工法の一種で、金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部のすきまをつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形する事です。金属の素材を金型などで圧力を加えて塑性流動させて成形するので、鍛流線 (たんりゅうせん) が連続するために組織が緻密になり、鋳造(ちゅうぞう=ロストワックス製)に比べてすきまができにくいので、強度に優れた粗形材をつくることができます。当社は自動車・建設機械・農業機械などのエンジン部分等の部品も熱間精密鍛造で製造しております。これら大型機械の部品は絶対的強度が必要です。そのような重要部品ほど鍛造で作られたものが多く、鍛造の強度がいかに信頼されているかの証とも言えます。

当社が作る鍛造の刃は、薄くて丈夫で、刃こぼれしにくいことが特徴です。刃を薄くするには、何度も圧力をかけ、空隙をなくす究極の技術が必要です。薄くするために、より強い圧力をかけるため、強度が増します。コンパクト性はもちろん、メンテナンス性にも優れるため、エンドユーザーにとっては”使える”工具となります。生産当初から、当社の刃の損傷クレームはゼロです。世界中に鍛造の刃を作るメーカーはありますが、当社のような薄い刃を作る技術を持っている企業は、ほとんどありません。このメンテナンス性とコンパクト性が、工具を扱う人のよりよい仕事を助けています。